青識亜論の「論点整理」

表現の自由に関する様々な事象について、ネットでの議論などを「論点整理」し、私の見解を述べるブログです。

討論会後記:それでもなお、寛容と対話を(青識亜論)

  

これフェミ討論会に参加いただいたみなさん、また、運営側で尽力してくれたみなさん、本当にお疲れさまでした。

   

私は、言うべきことは討論会の中で全て言いましたし、議事録的なものは書かないと決めていたので、当初、沈黙するつもりでしたが、登壇のお二人(小保内氏、石川氏)が記事を書かれたようですので、ごく簡単にですが、後記というかたちで今の所感を書きたいと思います。

 

togetter.com

 

note.mu

 

www.ishikawayumi.jp

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グラビア防衛論 ~フェミニズム・ハラスメントの脅威~

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川村海乃作品撮影 TomokoTomoko/2017/CC BY-SA



 石川優実氏の一編の論考が話題を呼んでいる。

 

note.mu

 

 コンビニエンスストアから成人誌が撤去されたことは記憶に新しいが、さらに一歩踏み込み、「グラビア表紙」についても是非を問う声を上げたのである。

 この問題については、グラビアアイドルの倉持氏も言及し、議論はさらなる広がりを見せている。

 

blogos.com

 

 本稿は、石川氏の主張が誤りであり、それどころか、ある種のハラスメントとしての構造を有することを、ひとつひとつ、彼女の主張を整理しながら解き明かしていく。

 

  • 論点整理:議論を支える二つの「前提」
  • 反論①:グラビア雑誌はセクハラ肯定でも女性差別でもない
  • 反論②:グラビア写真の排除はセクハラ対策にはならない
  • 結論:「大切な何か」を守るために人質はいらない

 

 少し長いが、最後までお読みいただければ幸いである。

(長い文章がまどろっこしいと思われる方は、「結論」だけでもお読みください。)

 

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ポルノグラフィは福祉である ~「性の商品化」礼賛論~

 

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海外のポルノ撮影現場(wikiより抜粋)

 

誰もはっきりと言わないので書くが、

ポルノグラフィは福祉としての側面がある。

 

福祉(welfare)とは何か。

経済学的には「厚生」とも称されるそれは、人間が通常追求する幸福の総量であり、

有限で稀少性のある資源(リソース)の獲得と定義される。

そして、厚生経済学の始祖A・C・ピグーによれば、

資源の分配が不足している貧困者が獲得する一単位の資源は、

豊かで余剰の資源を有する富裕者が獲得する場合よりも多くの厚生を生み出す。

 

小難しい言い回しになったが、要するに福祉の基本原理というのは、

豊かな人生を送るための何かが不足している人に対して、

それを再分配してあげることなのだ、ということである。

 

これは、現代的な福祉国家の基礎となっている理念である。

 

ところで、私たちは多くの場合、他者からの承認を欲する。

それも、特に異性からの承認を不可欠不可避的に欲求する。

マズロー自己実現理論のピラミッドにおいて、

社会的欲求の重要な要素として「Love」が挙げられているのは有名な話だ。

 

ja.wikipedia.org

 

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アンチフェミニストの弁明

  

いつものように私がツイッタランドを周遊していると、一編のテキストが流れてきた。

昨今の非モテ論を痛烈に批判した内容である。

  

note.mu

  

ここのところ借金玉氏は強力に非モテ論・アンチフェミへの批判を繰り広げているが、

いわゆる「非モテ論」界隈が反発するかと思いきや、実に静かである。

彼らは何を投げ返せばいいのかがわかっていない、

どころか「何を批判されているのか」すら分かっていないようにさえ見える。

 

私はとりたててフェミニストのアンチというわけではないし、

非モテ論というものに強い関心があるわけでもない。

しかし、あまりにもすれ違いが続いているのがもどかしいので、

あえてアンチフェミの側に立ち、「何を述べるべきか」を考えてみたいと思う。

 

もちろん、非モテ論まわりの知識について不勉強なので、

エビデンスをしっかり固めての論証にはならない。

(そのあたりは、すもも氏ら統計に明るいみなさんの今後の仕事に期待するとして)

界隈の議論を端から見たものの意見として、率直なところを述べたいと思う。

 

 

 

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小宮・青識論争――または「最善の相」について

 長い論争がありました。

セクシズムやレイシズムに基づく海外の人からの発言に対して怒るべきか、についての小宮友根氏と青識亜論氏の対話(継続中)
https://togetter.com/li/1263573

 振り返ると、二人合わせて500ツイートにも上ったようですね。
多くの観客の方にも見ていただき、様々な御批判もいただきました。
非常に勉強になり、私としては得るところが大きかったです。

 小宮友根先生におかれては、学会前のお忙しいところ、
きわめて丁寧に御返答をいただき、大変ありがとうございました。
当該議論における論点も簡潔にまとめていただいており、
議論を復習するのに大変役に立ちます。

小宮主張再説
http://www.twitlonger.com/show/n_1sqlclu

 また、観戦しておいでた江口先生も、
以下のように感想を書いていただいています。

チラシの裏:小宮青識論争観戦記
http://yonosuke.net/eguchi/archives/8995

 以後、この二つのテキストを基に、
私の見解を書いていきたいと思いますので、
どうぞよろしくお願いいたします。

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『二度目の人生を異世界で』を巡る議論について

 こんにちは、青識亜論です。

 さて、異世界転生系ライトノベル二度目の人生を異世界で』について、
各界隈で様々な議論が巻き起こっているようです。
作品そのものの評価はさておくとして……多くの興味深い論点を含む反面、
論点が多岐にわたり、いささか混乱しているようにも見受けられます。

 今回は、当該作品を巡る諸論点について整理してみたいと思います。

 

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「パブリックエネミー」発言の何が問題だったのか

 こんにちは、青識亜論です。

 青地イザンベール真美先生の「パブリックエネミー」発言が
ネットの一部で大炎上しましたね。
炎上の度合いとしては、かつての日向市サーファーCMに
勝るとも劣らない火勢であったように思いました。

 青地先生は、民進党の元都議会議員選挙候補者であり、
東京外国語大学上智大学で教鞭をとる政治学者でもあります。
性暴力被害者の人権擁護などの活動にも携わってこられたとか。
そのような方が、オタクや小児性愛者などの一部の属性集団をとらえ、
「パブリックエネミー」と名指したのであれば、
確かに問題は大きく、炎上しても仕方がないことだと言えるでしょう。

 しかし一方で、青地先生御自身は、
「オタクをパブリックエネミーと呼んだことはない」
と主張しておられ、またその主張を擁護する向きもあります。

 今回の発言を強く批判してこられた荻野区議と青地先生も和解し、
いったん騒動が落ち着いてきたこの時期に、
今一度冷静な目で一連の騒動を「論点整理」したいと思います。

 

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